
終物語 第1話。
2015年秋アニメ感想第3段は、
<物語>シリーズの最新作にして最終章。
以下感想
正しさへの絶望
忍野扇が暴く、阿良々木暦の運命の分岐点。阿良々木さんが旧キスショットと出会ってから約半年後、
忍野の姪を名乗る謎の後輩、忍野扇の三文芝居に付き合わされ、
阿良々木さんは存在しないはずの教室に扇と二人、閉じ込められることに。
夕暮れの教室で女の子と二人きりという裏山シチュエーションなわけですが、
肝心の相手がこの娘だと羨ましいどころか激しく気の毒に思えてくるw
この得体の知れない現象は紛れも無く怪異現象。
そして怪異が現れるというのにはそれ相応の理由がある。
ここで言う怪異とは阿良々木さんの心の闇を的確に突いてきた扇のことであり、
彼女の正体は阿良々木さんの絶望やら罪悪感といった負の感情と言える。
そう考えるとこれまでの物語での扇の言動にもある程度納得がいきますね。
扇の導きで、阿良々木さんは二年前、七月十五日の出来事を思い出す。
老倉育という名の、羽川じゃないキッツイ性格の委員長が発端となり、
数学の期末テストで不正を働いた犯人を探す学級会が行われた。
そして阿良々木さんはそこで議長という嫌すぎる仕事を任されることに。
普段から高圧的な態度を取られている上にこんな面倒事まで押し付けられる。
私だったら老倉に同情するどころか普通にキレてるところですw
阿良々木さんがこの学級会で絶望したのは醜く無為な言い争いではなく、
大勢が正しいと言えばそれは正しさとなってしまう多数決の恐ろしさであった。
よく民主主義=多数決とみなされることが多いのですが、
多数決というのはあくまで最終手段であり、できることなら避けるべき。
実際は議論だけで折り合いがつくことなど滅多にないため、
多数決に頼るしかない場面が多いわけなのですけど。
ただ今回のような犯人探しというネガティブな題材において、
多数決を持ちだしてしまうのは愚の骨頂としか言いようがないですね。
愚かで哀れな老倉の自滅までは阿良々木さんの思い出話。
しかし二人が教室から脱出するためには、
老倉ではない本当の犯人を阿良々木さんの説明から推測する必要がある。
真犯人は生徒の模範であるべき存在である担任の教師。
この教師の醜態こそが阿良々木さんが目を背け続けてきた絶望の真の姿。
というか、その現場をただ黙って見ていた自分に一番絶望したのでしょうね。
阿良々木さんの過剰な献身は当時の経験の反動なのでしょう。
で、担任の醜悪さに絶望したのは阿良々木さんだけではなかったのだろうと。
老倉の「犯人はテスト問題を盗みそれを勉強会に反映させた」という主張だと、
勉強会の主催者であり委員長である彼女が最も疑われるに決まってる。
そんなバカでもわかる流れに気づかず多数決を実行したとはさすがに思えない。
なので、老倉は最初から真犯人の正体に気づいており、
こうして学級会で問題にすれば、罪のない生徒が犯人にされそうになれば、
きっと先生が自ら申し出てくれるのだろうと信じて疑ってなかったのでしょうね。まとめ
てなわけで<物語>シリーズの完結編である終物語。
今回は扇が暴く阿良々木さんの心の闇について。
カンニング犯を当てるというミステリーじみた話だったのですが、
1話完結だと情報を整理し推理を行うほどの時間的余裕はありませんでしたね。
きっと原作だったら「生徒の中に混じっている教師の存在」とか、
散りばめられたギミックを探しだす楽しさもあったのでしょうけど。
まぁでも、この事件で阿良々木さんや老倉がどういう傷を負ったのか、
この事件を蒸し返してきた扇の正体とその意図は何なのか、
そういった部分に思いを馳せると非常に楽しめる一話でした。
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絶望したり、自分を責めてしまう辺りが阿良々木くんらしいですね。
セクハラ主人公なのに繊細ですよね。 純真というか。 セクハラ主人公だけどw