
Fate/Zero 第16話。
セイバーvsランサー、誇りある戦いの果てに待っていたのは・・・。
以下感想
執念と忠誠
キャスターの討伐後、令呪の獲得のためにケイネスが動く。監督役の綺礼父が各マスターに約束していた
「キャスター討伐による令呪の贈与」
これによってソラウに令呪を奪われたケイネスさんも、
令呪を取り戻すと同時に聖杯戦争に復帰することに。
どうやらキャスター討伐に貢献したすべてのマスターが、
一回分の令呪を獲得できるというものだったらしいです。
この状態で戦線復帰とは、まさに何もかもを失った男の執念ですね。
ただでさえ圧倒的不利な状況、
これ以上他のマスターにアドバンテージを与えるわけにはいかない。
ケイネスさんは令呪を手に入れると同時に綺礼父を射殺。
まぁ裏で時臣とあれこれ策を巡らせ、
とても公平な審判とは言いがたかった男。
この結末は自業自得って印象が強いですねぇ。
というかこういう強攻策をとるマスターがいるかもとか、
これっぽっちも考慮していなかったのかなぁ。
一方、本来のランサーの令呪を持つソラウは、
舞弥の手によって令呪の宿る手を切断されると共に気絶させられる。
まぁただの恋をする乙女が無用心にも危険な戦場に
足を踏み入れちゃイカンよってカンジですね。
出血死させないよう舞弥がちゃんとソラウの手当しているあたりが
なんともいやらしいです。
ソラウのピンチに対し、ランサーに憤りまくるケイネスさん。
ランサーはただケイネスさんと共に
生前叶わなかった誇りある戦いに挑みたかっただけ。
しかしケイネスさんはその言葉を信じず、
挙句の果てにはランサーを自らの妻をたぶらかしたケダモノ扱い。
今はそんなくだらない口論をしている場合でもなかろうに、
致命的なまでに状況判断ができないですねぇケイネスさんはw
どうしようもないほどに不仲なランサー組。
伝承のみを信じ現実のランサーをまるで見向きもしない
ケイネスさんが悪いのは間違いない。
しかしランサーも自らの騎士道を貫き通すためだけに
ケイネスさんに忠誠を誓っているような気がします。別段ケイネスさんの人格に惚れ込んでいるわけでもなく、
ただ自分のマスターだからという理由だけで付き従っているのですから。
ケイネスさんがランサーを
ただのサーヴァントとしか見ていないのと同様、
ランサーもまたケイネスさんをただのマスターとしか見ていない。
お互いの立場にとらわれすぎて
形だけの主従関係になってしまっていたあたりが、
ランサー組の最大の失敗だったと思います。英雄と悪
セイバーとランサーの待望の決闘、その結末はあまりにも悲惨で・・・。邪魔者が入らないであろうこれ以上ない絶好の機会。
夢にまで見た待望の決闘だからか、
この二人、驚くまでに生き生きとした表情で戦ってますね。一方ケイネスさんのもとに、
第8話で敗れた宿敵である切嗣が現れる。
ケイネスがソラウを人質にケイネスさんへと要求してきたのは呪術契約
「衛宮切嗣はケイネスとソラウに二度と手出しできない」
その条件は「残る令呪をすべて用いたランサーの自決」
唯一の願いさえも叶わず、騎士の誇りを踏みにじられたランサーは、
憎しみと呪いの言葉を吐きながら消滅。
聖杯戦争に誇りある戦いのみを求め続けた男の最期は、
誇りある騎士とはまるでかけ離れた姿だった。
なんとも悲惨で痛々しい結末ですね。
一方、ソラウを守るために聖杯戦争を諦めたケイネスさんは、
舞弥の手によってソラウ共々射殺された。
プライドの塊だった男がその栄光をすべてを捨てたにも関わらず、
待っていたのは無慈悲すぎる結末。
最期には「殺してくれ」と懇願するあたりがもう・・・。
あまりにも外道な手段をとった切嗣に怒り心頭なセイバー。
しかし切嗣はセイバーの言葉などまるで意に介さず、
逆に戦場へと人々を駆り立てる「英雄」への怒りを顕にする。
切嗣の手腕はたしかにショッキングではありましたけど、
個人的な心情としては切嗣の言い分に全面賛同ですね。戦場には尊いものなど存在しない、戦場とは地獄そのもの。
確かに誇りや理念、一刻の輝きもあるのでしょうけど、
それらはあくまで「強者」が「弱者」を蹂躙した結果でしかない。
その輝きの裏には同量の闇があるのは間違いないです。
セイバーやランサーのように戦場自体に喜びを見言い出せる英雄は、
あくまで力や運に恵まれた本当にごく一部の「強者」でしかない。
ならば「強者」になれない大多数の「弱者」は戦場でどうなる?
聖杯戦争が「魔術師同士の誇りある戦い」であると勘違いし、
切嗣の手によって無残にも殺されたケイネスさんこそが、
英雄にたぶらかされた「弱者」の典型的な一例です。だからケイネスさんのあの最期に関しては、
当然ながら切嗣の卑劣さを指摘される方が多いのでしょうけど、
それ以上に戦争の、「英雄」というシステムを悲惨さに
恐怖すべきであるはずだと思うんです。戦場における「弱者」は自分の死に方さえも選べないんです。
切嗣の考え方はあくまで「弱者」の側から戦争を見たもの。
戦場で輝くことのできる選ばれし「強者」には、
そうではない「弱者」の気持ちは決して理解できない。
だからこそ切嗣は徹底してセイバーを無視し、
否定し続けているのでしょうね。
何を語り聞かせようがムダってのはそういう意味だと思います。
切嗣はかつては「正義の味方」を目指していた者。
しかし正義では世界を救うことはできない。
それでも世界を救おうと願ったからこそ、
必要最低限の犠牲のみで戦争を終わらせるために、
切嗣はこれまでも戦場にて悪を担い続けていたのでしょうね。
その戦いにおいて最大の障害となる者こそがやはり「英雄」
彼らは自らの望む「誇りある戦い」を実現するため、
いたずらに戦争を長期化させていた節があります。
第8話でセイバーが誇りを優先してランサーの足止めを放棄しなければ、
ケイネスさんはここまで苦しんで死ぬこともなかったわけですし。
まぁ結果論でしかないんですけどね。
切嗣だって好き好んで人殺しを行なっているわけではないはず。
理想とはかけ離れた姿になりながら、
それでも悲願の成就を目指し続ける切嗣は、
この作品で誰よりも誇り高く真っ直ぐなキャラだと思います。少なくとも「母国を救うために聖杯戦争に勝ちたい」と言いながら、
騎士の誇りを最優先しワガママばっかりな騎士王様よりはよっぽど。
まとめ
今回はランサー組の最期と切嗣の信念が語られた回。
ランサー組の凄惨すぎる最期、
切嗣の容赦なさすぎる手腕が衝撃的すぎてちょっと引きましたが、
それでも切嗣の戦争を憎む想いに心を奪われました。
おかげでまたまた感想がアホみたいに長たらしくなってしまいましたよw
以前からの不調がさらに悪化したのであろうアイリの容態、
そして雁夜を救い、父親である監督役を失った綺礼の今後が気になりますね。
特に綺礼に関しては父親という枷が外れることによって
さらなる危険な方向への覚醒が期待できそうかな。
次回予告からして時臣さん終了のお知らせっぽいし。
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ケイネスは嫌味な男ですが自身や家門の誇りを棄ててまでソラウを助けようと、一途に愛を貫いたのは称賛に値すると思います。
まあソラウがディルムッドに魅了されているのを知っているのと、自分の間違いを認められず猜疑心が強く狭量なのが災いしましたね。
彼はディルムッドをサーヴァント風情と侮蔑していましたが、実際はちょっと違うんですよ。ケイネスは英霊自体には尊意を抱いてはいたんですよ。ただだからこそディルムッドの無償の献身と忠義が信じられなかった。「名高き英雄が人間風情の使い魔に身を落とすにはそれ相応な理由があるはず」と思い、疑うも謀反を起こされても令呪で御せれば問題ないと思ってました。
そしてディルムッドも、初歩的な心得違いでしたね。相手の人となりも見ようとせずにケイネスを主の役を降り忠義を誓う。とんだ茶番ですね。彼はただかつての主であるフィンへの果たせなかった忠節の道を、袖振り合う程度の縁で会ったケイネスで代替行為をしていたに過ぎません。
互いに相互理解を怠ったこと、初戦で切嗣と戦ってしまったことが、ランサー陣営の過ちですね。
独善的な行為がなければ、ディルムッドはもっといい男になったのでは?と思います。ディルムッド自身は今までの行い通り、決して悪い男ではない、むしろ善良な人物です。(サーヴァントとしては兎も角)
ただ聖杯戦争では彼の望みの成就はかなり難しいものでしょうね。せめて彼が心得違いをせずにしっかり騎士道を見据えていればこのような悲劇にはならなかったと思います。ケイネスとの不仲もある程度は解消されたでしょう。
切嗣とセイバーは本当に相性最悪ですね。ただ外道な策略は辟易しますが、やっぱり切嗣の考えに賛同してましまいすね。弱者や無関係な者たちを巻き込む戦争なんて始めた瞬間からどちらも「悪」なのだと思います。セイバーも完全に切嗣のことを否定できず、むしろ相容れずとも彼にこそ聖杯は相応しいと、原作では思って葛藤していましたよ。
セイバーの騎士道のほうが間違ってそうに思えるのは、他に聖杯問答で露呈したセイバー自身が自分の築きあげたものに自信が持ててないのもあるでしょうね。形だけしか騎士道を持っていないような印象がありかもしれません。
そういえば、Twitterでは恒松あゆみさんから、「力也さん、ひどい」と言われてましたが、むしろ同じくらいひどいのはあゆみさんですよね(笑)?